大会長挨拶

第22回日本医療情報学会春季学術大会会長
赤澤宏平(新潟大学医歯学総合病院 医療情報部 教授)

このたび、第22回日本医療情報学会春季学術大会を2018年6月21日から23日までの会期で、新潟市朱鷺メッセで開催させていただくことになりました。学会員ならびに学会関係の皆様のご協力を賜りながら実りある学術大会にしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

本大会のテーマは、過去の研究成果と現在の研究領域を鑑み、「医療情報学の再発見 〜研究の多様化の中で今なすべきことは?〜」といたしました。
私自身、医療情報学を学び始めて30年以上が経ちました。この30年間で研究者の顔ぶれも研究テーマも大きく変わったと感じています。医療情報学会の主な発表に目を向けますと、1980年代はオーダーエントリーシステムや部門システムの創生期で、いろいろな試みが発表されていました。1990年代は検査・薬剤・放射線・看護・医事会計システムの充実や、電子カルテの試作と実用化に関する発表が多くありました。また、2000年代に入りまして、病院情報システムや診療所電子カルテが成熟度を増し、地域医療情報ネットワークも信頼できるシステムとして定着したとの報告がありました。

近年になりますと、集積された医療データの活用事例や分析手法などの幅広い発表が行われています。診療圏分析、経営分析、画像解析、シミュレーション、統計解析、遺伝情報解析、情報管理、教育など、医療情報学の独自の進展はもちろんのこと、他分野との学際的な研究も顕著になってきていると感じます。総じて言えば、本学会では、システムの機能や運用の事例、ネットワークやセキュリティに関する技術、医療情報を用いた高度な解析などが盛んに議論され、医療情報学の発展に大きく貢献しました。

このような研究成果を得た反面、これまでの医療情報学の研究論文や学会報告を見ておりまして、以前から危惧する点もありました。それは「研究の質」の問題です。医療情報学は学問の一領域ですから、その研究成果には学術的な新規性や社会への有用な還元が求められるはずです。新規性や社会還元に対する考え方は、それぞれの研究者によって受け止め方が異なるでしょうが、研究の質を高める努力は今後もさらに求められるべきと考えます。

医療情報学の研究領域がますます多様化する中で、研究の質をどう高めていくのかも考え直す必要があります。過去30年間での研究成果を礎として、今日の多様化した研究テーマへの向き合い方を皆様とともに考えてみたい、それが本学術大会の趣旨であります。

新潟は海の幸、山の幸、お酒に恵まれた土地です。大会長自らが厳選した美味な逸品を取りそろえておりますので、どうか皆様、お誘いあわせの上、楽しみにしてお越しください。